医学的測定尺度の理論と応用 -妥当性、信頼性からG理論、項目反応理論まで pdfダウンロード
医学的測定尺度の理論と応用 -妥当性、信頼性からG理論、項目反応理論まで
strong>本, 木原雅子
医学的測定尺度の理論と応用 -妥当性、信頼性からG理論、項目反応理論まで pdfダウンロード
によって 木原雅子
4.8 5つ星のうち1 人の読者
ファイルサイズ : 29.04 MB
内容紹介 以前に比べれば,医学的研究の分野でも,尺度が使われる機会がはるかに多くなってきまし た。しかし,計量心理学の分野とは異なり,医学的研究の分野では,尺度の作り方や理論が体 系だって教えられることは,私たちの知る限り,これまではほとんどなく,かなり問題のある 使われ方がされている例が少なくありません。例えば,意味のわからない直訳の尺度が使われ る,既存の尺度の一部だけが抜粋して使われる,海外での信頼性,妥当性がそのまま日本でも 該当するという前提で使われる,と言った具合です。 こうした背景には,質問票が, 「アンケート」という,いかにも “軽い" 言葉で呼ばれ,特別 に習う必要もない簡単なことと誤解されてきたことがその背景にあります。しかし,質問票は, しばしば, 「instrument」と表現されるように,血圧計やCTスキャンなどと同じく,科学的「測 定手段」の1つであり,本来,それなりの高い精度が求められるものなのです。血圧計の精度 が悪ければ,誤診につながるように,粗雑な質問票(尺度)では,目的とする現象や概念をうま く捉えられず,せっかくの研究が無意味化する恐れがあります。考えてみれば至極当然のこと なのですが,この方面での方法論的伝統がまだ浅いわが国の医学的研究の分野では,そうした 認識が十分に浸透していないのが現状です。 それでも,最近では,医学的研究の分野でも,信頼性reliabilityと妥当性validityという用 語が定着し,少なくとも,表面妥当性,内容妥当性,クロンバックのα,再テスト信頼性と いった用語はよく見かけるようになってきました。これは1つの進歩として喜ばしいことです。 疫学の教科書にも,これらを含め様々なタイプの妥当性や信頼性が紹介されるようになってい ます。しかし,残念ながら,これらの教科書の記述は羅列的にとどまり,その背後にある理論 的文脈を知ることができませんでした。私たちにとっては,それが長年のジレンマの1つであ り,一度系統的に勉強したいと思っていました。 本書に出会ったのは,この第5版が初めてではありません。実は初版から研究の参考にして きた教科書の1つでした。最初は薄く,それほど翻訳の必要性を感じる内容ではありませんで したが,その後版を重ねるごとに,包括的になって分厚くなり,第4版以降は,尺度の妥当性 と信頼性に関して,少なくとも医学分野の教科書としては,類書にない水準に達したと思われ ます。著者らは,妥当性や信頼性を,辞書のように,切れ切れに羅列的に説明するのではなく, できる限り系統的に説明しようと試みています。信頼性と妥当性のつながり,信頼性の包括的 理論としての一般化可能性理論(G理論),妥当性における「妥当性の検証validation」という概 念の導入,質問項目単位での測定の理論化である項目反応理論の導入などは,新しい方法の紹 介というだけにとどまらず,妥当性や信頼性の系統的説明の必要性からと思われ,その目論見 は,大枠では成功していると思われました。 本書からは,尺度の妥当性と信頼性の理論と応用について,多くのことを学ぶことができま す。その中で,最も重要で,著者らが繰り返し強調していることは,妥当性と信頼性は, いずれも「相対的」な概念であり, 尺度が用いられる状況や対象が変化すれば,妥当性も信頼性も変わってしまうという事実です。これは,他の論文で妥当性や信頼性が確認されているからと, 既存の尺度を無頓着に流用する姿勢に警鐘を鳴らしたものと思われます。そして,各章の記述 は,尺度の理論と応用に関して,それぞれ,類書にない重要な学びを提供してくれます。尺度 (質問項目,選択肢)の作成や選択に必要な実用的で理論的な知識(第1~5章),回答のバイア スに関する系統的な知識(第6章),スコア化とそれに基づく判定に関する実際的,理論的問題 (第7章),信頼性とその包括的理論である一般化可能性理論の概要(第8,9章),妥当性にお ける構成概念妥当性の重要性(第10章),変化の測定における重要な理論的問題(第11章),古 典的尺度理論の限界を克服するために開発された項目反応理論の概要(第12章),面接法から, 最近急速に発達しつつあるインターネットを用いる方法に至る実施方法の利点と欠点(第13 章),測定にまつわる倫理問題(14章),そして,妥当性,信頼性に関する研究報告の標準化の 問題(第15章)などです。私たちにとって,特に印象深かったのは,カッパ係数と級内相関の 連続性,統計学的検定と信頼性の間の「クロンバックのパラドックス」(第9章)と, 「変化の測 定」の介入前値における平均値への回帰現象の影響や,暗黙的変化理論やレスポンスシフトと いう理論的問題(第11章),階層的回帰分析(第11章)などですが,読者の方々にも,本書から, 多くのことを,学んでいただきたいと思います。 しかし,本書の翻訳はかなりの苦行でした。結局翻訳開始から1年を要し,これまで10冊 近くの翻訳を行ってきた私たちにとっては異例の長さとなりました。その理由は,多少の数式 が含まれ,難解だったからですが,翻訳が終わって見れば,内容自体が難解というよりも,原 書に多かった数式の誤植と,おそらく分担執筆のためと思われる,数式の記載形式の不統一な どが主な原因であったと思います。これらについては,翻訳版では,すべて,引用文献にもあ たりながら修正しましたが,かなりの時間がかかり,1つの章に1カ月以上かかったこともあ ります。こうした努力の結果,翻訳者としての多少の自負を許していただければ,翻訳版は, 原著を読むよりも,わかりやすく読みやすい内容と表現になっていると思います。ただ,ごく 一部ですが,時間的制約のために,訳としては,原著に正確ではあるものの,文脈的にこなれ 切れていない部分があり,それらについては,後日,さらに検討したいと思っています。 本書は,筆者らが,メディカル・サイエンス・インターナショナルから出版し続けている, シリーズ本の第8冊目(改版を含めれば11冊目)となります。これまで,海外の特に優れた教 科書を選んで, 「医学的研究のデザイン」(2014年), 「疫学」(2010年), 「医学的研究のための多 変量解析」(2008年), 「医学的介入の研究デザインと統計」(2013年), 「疫学と人類学」(2012年), 「現代の医学的研究方法」(2012年), 「国際誌にアクセプトされる医学論文」(2000年)を出版して きましたが,ここには,独学で研究方法を学ぶ人々を少しでも支援したいという思いがありま す。 かつて,わが国の疫学研究には,海外の公衆衛生大学院で疫学や統計学を学んできた研究者 がいる,いくつかの大学のお家芸のような時代があり,その外部にいる私たちのような人間は, 独学する以外なく,その習得は簡単ではありませんでした。独学するならと一念発起して,ま だ一地方研究所の研究員であった時代に,仲間を募って, 「医学的研究のデザイン」の初版を 1997年に翻訳発行したところ,大きな反響があり,その後1つひとつ,優れた教科書を選んで は,翻訳し続けてきました。学生の間では,いつしか「木原シリーズ」と呼ばれるようになりま した。そのシリーズにまた優れた1冊を加えることができたことを嬉しく思います。 私たちのこうしたささやかな仕事が,わが国の医学的研究の方法論の普及と研究の発展に少 しでも貢献できれば,訳者としてこれに過ぎる喜びはありません。 2016年8月26日 木原雅子 加治正行 木原正博 出版社からのコメント ロングセラー“医学的研究"シリーズ、第8弾。医学的研究や統計に多用される測定尺度の理論と応用について、信頼性(reliability)と妥当性(validity)の観点に基づき包括的かつ系統的にまとめたオンリーワンテキスト日本語版。尺度の基本概念から新しい方法論、調査の実施手法など、理論的文脈を踏まえてわかりやすく解説。質問票の作成や各種調査の裏付けとなる知識を提供する。
医学的測定尺度の理論と応用 -妥当性、信頼性からG理論、項目反応理論までを読んだ後、読者のコメントの下に見つけるでしょう。 参考までにご検討ください。
このシリーズの中でも、他書に無い内容が充実していて、尺度開発を目指す院生には有効な書物でした。
0コメント